公益社団法人全国社寺等屋根工事保存会主催の第27回茅葺きフォーラム「見学会・協議会」が9月12日、足利市昌平町、史跡足利学校の裏門や同市通一丁目の足利のわかりやすい歴史館を会場に開かれた。全国から同工事に携わる職人ら40人ほどが訪れ、同学校裏門で実施している茅葺き屋根ふき替え工事の見学、情報交換などを行った。同フォーラムの栃木県内開催は初。
同研究会は1959年、全日本檜皮・柿葺工事業組合として設立。77年に現在の名称に改称。文化財である社寺などの屋根工事の技術保存と研究向上を図り、技術者の研修や修理用資材の確保を行いながら文化財保護事業に寄与することを目的とし、全国33社が加盟。さまざまな活動を展開している。
9月2日に着手した同学校裏門のふき替えは同保存会が研修作業の一環として提案し、実現したもの。同所では栃木県下野市の茅葺屋根保存協会の職人が指導者となり、県外の職人2人が研修を受け技術を磨いており、今回のフォーラムでは見学会を実施。
また、歴史館に会場を移しての協議会では同校研究員・学芸員の大澤伸啓さんが「史跡足利学校の歴史について」をテーマに講演したほか、文化財建造物保存技術協の・増渕靖裕さん、京都女子大名誉教授の斎藤英俊さんの講演、文化庁文化財調査官の稲垣智也さんの総評などが行われた。主催した技術保存会の友井辰哉会長(京都市)は「大変歴史のあるところで研修ができることはありがたい。茅葺き屋根のふき方も地方によって違うのでその技術を実際に目でみられることも意義深い」と話していた。
