
“ 働き、くつろぎ、食事して。”
この連載でも何度か挙げさせてもらっていますが、仕事柄撮影でこれまでに色々な国でたくさんのホテルに滞在してきました。その中には北海道の雪山のロッジもあれば、映画祭で宿泊する一流ホテル、歴史ある建造物がそのままホテルになっている場所など本当に様々です。
そんな中、現在約2ヶ月間滞在しているシンガポールのホテルがとてもユニークなので、今回の連載で少し紹介してみたいと思います。
このホテルは “ lyf one-north Singapore ”というホテルで、テレビ局のmediacorp(シンガポールの総合メディア企業)に近い立地で、今回で2回目の滞在になります。
ここはホテルというよりサービスアパートメントという形態に近い所で、何が違うかというと、ホテル内に宿泊者が共有で使えるキッチン、ダイニング・スペースがあり、食材や調味料は自分で用意する必要がありますがお鍋や包丁にスプーンにフォークなど調理に必要なものは全て揃っており、近くのスーパーで買い物をして自分で料理して食べることができるんです。各フロアにアイロン台とアイロン、電子レンジにウォーターサーバーもあります。
この形態は海外では結構見かけるタイプで、それぞれの部屋自体にキッチンが付いているタイプもあったりします。今回の様な共有のタイプでは実際に友人同士で旅行に来ている人達が昼食、夕食時にグループでキッチンを囲んで、併設されているダイニングで食事を楽しんでいるのをよく見かけたりしています。
キッチンの他にも、24時間解放されているコンパクトなフィットネス・ジムや、シンガポールの植物や太陽を全身で感じられる屋外プール、ビジネスで滞在している方やフリーランスの人たち向けに作業スペースも各テーブル電源付きで1階ロビーに備わっており、エントランスにはスターバックスの各種コーヒーがいつでも購入できるコーヒーマシンが備え付けられています。その他会議用に使える独立したミーティングルームや、長期滞在する方の為にちょっと宇宙旅行を想起させる内装が施された洗濯用のランドリールームも併設されています。
この様に、短期での旅行はもちろん、僕みたいな仕事での長期滞在者にとってもちょっと現地に住んでいる様な感覚を楽しめる面白い側面を体験できるホテルです。
ここに滞在していて個人的にとても満足している点があります。
それは、自分の仕事や自由時間をまさに自分のペースで切り替えながら過ごせるという点です。
例えば、午後からの撮影の場合、まず午前中に台本等の確認を済ませた後、自分のキリが付いたタイミングでまだ時間に余裕があれば、下の階に行ってジムで少し体を動かし、その足で2階にある屋外プールに行ってリラックスしながら泳いだりプールサイドのリクライニングチェアで再度台本を読んで確認したりと、自分のタイミング、ペースでその時の気持ちに合った環境を選んで「仕事」と「リラックス」のオン・オフが程よくバランスを取りながら過ごせるんです。特にジムが24時間開放されているというホテルは多くないと思うので、これはこのlyfに滞在するのにかなりのポイントに感じています(多少遅く仕事から帰っても時間を気にせずに軽く身体を動かしたりできるので)。
ここに書いた以上に、滞在している期間中と徐々に気づいていく小さいながらもとても快適に過ごせる様配慮がされているポイントに度々出会います。
特にコロナの時期を経たのち、色々なライフスタイルが定着してきていると思いますので、今後こういった様々な仕事の仕方にマッチしたホテルやサービスアパートメントが登場してくるのではないでしょうか。
至れり尽くせりのホテル滞在ももちろん快適ですが、時には自分自身のライフスタイルを海外現地や滞在先に持ち込んで過ごしてみるというのも、なかなか楽しいものなのでもし機会がありましたら読者の皆さんも是非体験してみて下さい!
今、この連載も今回はプールサイドで書き終わりましたのでこのまま泳いで帰る事にします。
それでは。ザブン。

ふくち ゆうすけ
1984年足利市生まれ。俳優。
20代を東京、欧米で過ごした後、独学で中国語を修得。現在台湾、シンガポール、中国、日本を拠点に活動、その各国に主演作品を有している。近年、自身の水彩画やエッセイなどの創作が注目を集め、書籍出版や連載、講演等の依頼へも積極的に参加している。
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