
“ OHTANI・BLUE ”
ロサンゼルス現地時間2025年10月18日ドジャース・スタジアム。
連日、日本でも活躍ぶりが報道されており、今日米で一番注目されている日本人と言えば、メジャーリーガーの大谷翔平選手ですよね。
その日、先発で出場した大谷選手が投手として10奪三振、打者として3本塁打の記録を叩き出しました。
これはアメリカのベースボール史上初の記録だそうです。
マウンドから投げ込まれたボールがキャッチャーミットに収まる音、そしてスイングされたバットの芯で文句なしにボールを捉えた時の乾いた快音。
僕の耳にはその両方が今でも鮮明に残っています。
そうなのです。僕はその日、幸運にもドジャース・スタジアム現地で試合を観戦していたのです。
三塁側のスタンド少し上の席。
決してチケットは安くはなかったですが、せっかく現地にいて、優勝に絡むポストシーズンを迎えていたので、悩みに悩んだ末なんと試合前日の夜にチケットを購入したのでした。
スタジアムに着くと、僕の目の前の光景はどこを見ても現地のドジャースファンのブルーの帽子やユニフォームで、他の色が見えないほど青と白で埋め尽くされていました。
そして行き交うブルーとホワイトの波の中で、本当に沢山のファンの背中に「大谷翔平」の名前がおどっていました。「OHTANI」という英語表記はもちろん、漢字表記で「大谷翔平」と書かれたユニフォーム、カタカナで「ドジャース」と書かれたベースボールキャップも数えきれないほど眼にし、彼がロサンゼルスのファンの方々にどれ程愛され、そしてドジャースの日本人選手をきっかけに『日本』という要素が如何にムーブメントになっているかということを肌で感じました。
ロサンゼルスに来てみて、スポーツに限らず本当に実力がものをいう街という印象を、そこに暮らす人々の放つ雰囲気の端々から感じました。
そしてこの地で、“ここぞ”という大舞台に最大の結果で観客を熱狂の渦に包み込む事ができる個人。
それを達成できる個人が、その瞬間に最大の賞賛を得る。
その瞬間の一つを、僕は青と白で揺れるスタジアムの中で眼にしたのだと思います。
ともすれば、塗り替えられた歴史的結果は、同時にベースボール史上最大の努力の結果の現れとも言い換えられるのかも知れません。
自分の理想は自分の力で手に入れる場所、ロサンゼルス。
僕は俳優としてビザを取りこの地へ来ました。
一足先に実力を発揮している彼らの活躍を目の前に、
僕も黙ってはいられないのであります。

ふくち ゆうすけ
1984年足利市生まれ。俳優。
20代を東京、欧米で過ごした後、独学で中国語を修得。現在台湾、シンガポール、中国、日本を拠点に活動、その各国に主演作品を有している。近年、自身の水彩画やエッセイなどの創作が注目を集め、書籍出版や連載、講演等の依頼へも積極的に参加している。
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