
“ 世界的一等地の洗濯物。”
プライベート、仕事も含め国を問わず色々な町のホテルに滞在する機会があります。
特に仕事では普段行かない様な町や場所に滞在する事もあるため、その土地の文化が滞在中に垣間見えたりしてとても面白いです。
マレーシアのバトゥ・パハットという町に撮影で約2週間滞在した際には、イスラム教の方々の『断食』の期間と重なって、昼間と夜、決まった時間になるとモスクから町全体に届く音量でスピーカーからお祈りの放送が流れたりして、普段住んでいる環境では味わえない情緒を体験できたりしました。
そんな滞在先を点点とする日常から、僕はちょっと変な楽しみがあります。
皆さん、旅行等でホテルに滞在する際、まずどういう景色なのか窓の外を眺めませんか?
この際、都市部のホテルだと道を挟んだ向かい側のマンションやショッピングモール等を外側から目にすることになります。
その都市の一部として現代的で、オシャレに聳え立ち、その国の最先端の外観を担っているタワーマンションやショッピングモール。
時々、滞在先の窓からこうした煌びやかな建物にそこに住んでいる人たちの生活感を目にする事ができる瞬間があります。
ショッピングモールのオフィス階なのでしょう、オシャレなガラス窓の中ではスーツの男性が同僚と卓球をしていたり、リッチな生活を彷彿とさせる高級タワーマンションの高層階のベランダに、普段僕らのスーパーで目にする洗剤一式が洗濯物の横にズラリと並んでいたりします。
そういう光景を目にする度に、「僕らの目に見えている人々の生活は社会的に整えられたもので、蓋を開けると皆んなそんなに変わらない日々を送っているのだなぁ。」そんな風に感じます。俳優としても、その一面を垣間見るのが役作りにも役立つちょっとした興味深い瞬間になっています。
「隣の芝生はよく見える」
外の芝生は綺麗でも、家の中はみんなと同じだったりするのが、この世の中の不思議な本質ですね。

ふくち ゆうすけ
1984年足利市生まれ。俳優。
20代を東京、欧米で過ごした後、独学で中国語を修得。現在台湾、シンガポール、中国、日本を拠点に活動、その各国に主演作品を有している。近年、自身の水彩画やエッセイなどの創作が注目を集め、書籍出版や連載、講演等の依頼へも積極的に参加している。
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