足利市をメーンロケ地とした守田悠人監督の「あわい魔物たち」など、若手映画作家の発掘と育成を目的に文化庁の「若手映画作家育成プロジェクト」で制作された4作品の上映が7月4~10日にかけて足利市大月町のユナイテッド・シネマアシコタウンあしかがで行われ、同5日には作品を手掛けた監督4人の舞台あいさつもあり、多数の市民が足を運んだ。
同プロジェクトは同庁主催、NPO法人映像産業振興機構(VIPO)が運営しているもので今年で20年目。目的に沿い、若手映画作家を対象にワークショップや製作実地研修を通して作家性を磨くための知識、映像製作技術、作品発表の場を設けるなどしている。これまで「湯を沸かすほどの熱い愛」の中野量太監督、「沈黙の艦隊」シーズの吉野耕平監督など日本映画会をけん引する人材を輩出している。
同年度は63人の応募があり、1次選考、ワークショップなどを経て最終的に4人が選ばれ、映画製作のプロたちとそれぞれ約30分の映画をつくり上げた。上映会開催は従来、ほとんどが大都市圏だが足利をメーンロケ地とした作品があったことから、足利での上映会が実現した。
「はじめは平塚市(神奈川県)で撮影するつもりだった」という守田監督だが、ともに製作するプロダクションが足利市在住の大竹真二さんが代表を務める「Lamp.」となったことが縁で足利に足を運んだ際、作品に登場するカナディアン風の家と織姫公園のベンチを見て「ロケ地はここ」と直感し、市民とふれあう中で「ここしかない」という実感になっていき、自ら手掛けた脚本にも手を入れ、仕上げたという。
舞台あいさつで守田監督は映画に登場する柿の木がある民家を見つけたいきさつなどエピソードやエキストラとしても登場する市民と触れ合った際の印象なども語るとともに「また足利に作品を持ってこられるよう頑張ります」と力強く語った。
上映会では「あて所に尋ねあたりません」(たかはしそうた監督)、「スリーピング・スワン」(佐藤そのみ監督)、「いちばん星は遠く輝く」(武田かりん監督)も上映された。また、舞台あいさつの進行はVIPOスタッフできりゅうシネクラブの神山綾さんが務めた。
