2006年から開始された、佐野市葛生伝承館フレスコ大壁画の制作が今年20年目を迎える。春の公開制作が5月3日~18日に行われた。17日には一般に向け、現地で解説・イベントが開催され雨の中多くのが訪れた。
横幅23m・高さ3mの大壁画を制作している日本画家の2人、福島恒久氏(佐野市在住)と戸倉英雄氏(京都市在住)は共に東京藝術大学日本画専攻の同級生。
大きな壁画は、離れて鑑賞しなければ全体像が捉えられないため、通り過ぎてしまう人も多いという。そのため画面は、前景・中景・遠景のどの位置から見ても楽しめる構成になっている。
描かれているモチーフは、伝承館の壁画ということもあり、伝統的・歴史的な時間の流れを感じさせるもの。また一方で、佐野市を知ってもらえるようにと、佐野ラーメン・いもフライといったご当地ネタも登場。大きく2パターンから選択されている。しかし、制作中の様々な要因から、方向性が変化することもあり、壁画の完成までどのように進化するのか、それも楽しみである。
地元方々に見守られた20年、画面の中には地元の方々の姿も。「今後は『エラスムス像(国指定重要文化財)』も壁画に加えたいですね。」と福島氏は語る。
さて、完成の時期を尋ねると「聞かれるたびに3年ずつ延びている気がします。」と笑顔の2人。この後もフレスコ大壁画の制作は続く。



