第3回 足利の文化財 特別公開2025

中国歴代の名碑名蹟の拓本約2,000点収蔵展示『華雨蔵珍之館』
特別展示<趙孟頫(ちょうもうふ)の書 元代の文雅 没後700年記念拓本展第4弾>

 11月21・22日、第3回 足利の文化財 特別公開2025として『華雨蔵珍之館』で、趙孟頫の書の拓本17点を展示した。
 同館は、1989年に公益財団法人アンタレス山浦財団を創設・理事長に就任した故山浦啓榮氏が、中国歴代の名碑名蹟の拓本約2,000点収蔵するため1991年に建設したものである。
 当時、山浦理事長は中国曲阜市の街づくりや文化財の保護、中国の子どもたちへの援助など民間親善にたいへん貢献したことが評価され、曲阜市の名誉市民の称号を賜り、財団を発足させた記念にと貴重な拓本を大量に贈られている。収蔵する拓本は足利・曲阜両市および日中両国の未来永年にわたる友好の証であり、学術上の価値も高く、また書道の手本としても極めて貴重な文化遺産である。(同アンタレス山浦財団ホームページより)
 今回の展示作品のテーマとなった人物 趙孟頫(1254-1322)は、元代を代表する書家・画家・文人官僚で、彼の書は王義之(おうぎし)の蘭亭序(らんていじょ)などを多く臨書して学んだものとされ清朝の乾隆帝に高く評価されたと伝えられている。
 展示物は《平江路重脩儒学記》石碑の形のままの大きい拓本。趙孟頫が平江路で儒学を修復する記念の文章を流麗な行書で書いたもの。《過秦論》曲阜の「玉虹楼法帖」第十巻より。前漢時代の思想家・賈誼(かぎ)が始皇帝から皇帝三代の失敗を論じた名文。《臨定武蘭亭序 並蘭亭十三跋》山東省・曲阜の「玉虹楼谷園摹古帖」第二十巻より。王羲之の蘭亭序を趙孟頫がどのように学んだのかを知ることができる逸品。他文化財として貴重な14点を展示。
 特別公開の2日間、書家や書道を学んでいる学生など、書や歴史に関心を寄せる多くの人が訪れていた。

華雨蔵珍之館1階の展示室、奥(右)の拓本は《御製重修孔子廊碑》、左は孔子像
趙孟頫像
張留孫碑
平江路重脩儒学記
趙孟頫「玄妙観重脩三門記」
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この記事を書いた人

松尾幸子のアバター 松尾幸子 minimu 編集人・ライター

タウン情報誌の編集を経て、minimu 創刊号(2024年1月号)より、フリーの編集人・ライターとして活動中。地域の皆さんに良質で明るい情報を届けるべく、編集・取材を続けています。
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