足利市通二丁目の足利市立美術館で開かれている「山姥切国広展―名匠の軌跡、名刀の誕生―国広、本作長義と出逢う」は開幕から約1カ月。連日、同展を訪れたファンらがまちなかも散策し、市内はにぎわいを見せている。より楽しんでもらおうと同展の関連事業やイベントなども開かれていて、足利を訪れた人をもてなしている。前半に行われた同事業の中から、いくつかの様子をまとめた。
刀剣鑑賞会

同市が2月16日、通三丁目の足利商工会議所友愛会館で開いた「刀剣鑑賞入門―刀工堀川国広の魅力」。市内外から訪れた刀剣ファンらが、刀、脇差を手に取り、その魅力を楽しんだ。
日本刀について理解を深め、刀剣展をより楽しんでもらおうと実施した鑑賞会。募集人数80人に対し4倍近い311人の応募がある人気ぶり。
当日は足利郷土刀剣保存会の田部井勇会長と会員らが講師を務めた。まずは田部井会長が山姥切国広作者の堀川国広の魅力について解説。その後、ファンらお待ちかねの鑑賞会。室町時代末期や会津戦争で使用された刀、脇差がそれぞれ2本計4本用意され、会員らの説明を聞きながら実際に手にとって、じっくりと鑑賞していた。
千葉県から訪れた30代の女性は「鑑賞会に参加できて本当に幸運でした」とし、「実際に手に取ってみるとすごくきれいで感動しました。会長さんのお話も興味深く、いい経験をさせていただきました」と話していた。
あしかが文化財こどもガイド刀剣編

刀工・堀川国広に山姥切国広を作刀させた長尾顕長はじめ、足利長尾氏歴代の墓所がある同市西宮町の西宮長林寺では2月15日、足利の歴史をいかして地域の活性化に取り組む団体「あどもい」(堀浩会長)の主催による「あしかが文化財こどもガイド刀剣編」が行われ、子どもたちが訪れた人にていねいに説明していた。
午前中にガイドを務めたのは小学6年生の池上舞幸さん。自己紹介の後、西宮長林寺と長尾氏の歴史、同氏歴代墓所や墓石の作り、1929年に建てられた同寺の本堂が国登録有形文化財になっていることを説明。最後に「足利には長尾氏ゆかりの地をはじめ、多くの歴史的な見どころがたくさんありますので、ぜひ楽しんでいって下さい」と締めくくった。説明に耳を傾けていた人たちは「とてもよく分かりました。ありがとう」と声を掛けていた。
池上さんは「事前に母に手伝ってもらいガイドの練習をしました。長尾氏を調べることで、自分の住んでいるまちについて改めて知ることができてよかったです」と話していた。
スタンプラリー

まちなかなどの山姥切国広展協力店の「おもてなし」とともに、訪れたファンらの市内回遊を促しているのがPCブラウザ&スマホアプリゲーム「刀剣乱舞ONLINE」とのコラボ企画のひとつ「歴史と文化のまち足利を巡るスタンプラリー」だ。
市立美術館、史跡足利学校、鑁阿寺、心通院、足利織姫神社、あしかがフラワーパークのうち3カ所以上のスタンプを集めて太平記館にスタンプブックを持っていくと記念品がプレゼントされるという企画だ。
まちなかを歩くファンらの多くが同ブックを手にしている。レンタル自転車を利用している人も見かけるが、多くは徒歩。話を聞くと「せっかくなので全部集めます」という答えが返ってくる。
あしかがフラワーパークはJR両毛線などの公共交通機関を使用するとして、他の5カ所を美術館を起点に織姫神社、心通院、鑁阿寺、足利学校と歩くと5㌔近く。東京都から訪れたという20代の女性は「若いから大丈夫です」と笑い、「スタンプブックはきれいで、お店の情報なども掲載されているので、便利です」と話していた。
あしかがフラワーパーク

足利市迫間町のあしかがフラワーパークでは「刀剣乱舞ONLINE」とのコラボ企画のひとつ「刀剣男子山姥切国広花手水」をはじめ、国広をイメージした花のディスプレイ、国広の等身大パネル(軽装)を設置したフォトスポットが設置され、訪れるファンを喜ばせている。
園内では、長尾氏の家紋が刻印された「刀剣男子(とうけんだんご)」や刀剣や国広をイメージしたドリンクやスイーツなどが販売されている。2月22日には山姥切国広展バスツアー客らが訪れ、スポットでの撮影や買い物を楽しんでいた。
おっきいこんのすけ

国広展開幕初日の2月8日、「刀剣乱舞ONLINE」のゲーム案内役のキツネ「こんのすけ」の着ぐるみでゲームの宣伝隊長を務める「おっきいこんのすけ」が足利にやってきた。市立美術館や史跡足利学校などを回り、記念撮影などに応じていた。
おっきいこんのすけが登場するとあっという間に人だかり。東京都から足を運んだ女性は「国広展の初日のチケットは残念ながら取れませんでした。きょうの午前2時まで悩みましたが、おっきいこんのすけが見たかったので、来ちゃいました。来てよかった」と笑顔で話していた。