振袖姿の祭官も・厳かに釋奠・史跡足利学校

 足利市昌平町の史跡足利学校で11月23日、伝統行事「釋奠(せきてん)」が執り行われた。今回はこども釋奠を経験した20代の女性が振袖姿で祭官を務め、伝統行事が次世代へと受け継がれていく光景を見せた。
 釋奠は儒学の祖、孔子とその高弟に供え物をしてまつる儀式。今年で118回目となる歴史ある行事で2008年には同市重要文化財「民俗文化財」に指定された。現在は史跡足利学校釋奠保存委員会(笠原健一会長)が運営主体となって実施している。
 こども釋奠は同保存委の発案で、子どものころから伝統行事にかかわることで同学校への関心と郷土愛を持って伝統文化を継承していく大切さを目的に2014年からスタート。これまで多くの小・中学生が体験してきた。2人も同様で、こども釋奠卒業となった高校生以降も執事補として行事にかかわってきた経緯がある。
 一方、同保存委では数年前から「後世に引き継いでいくためにも若い人の参加が必要」と検討が行われてきた。初回からのこども釋奠経験者から社会人が誕生した今年を「よい機会」ととらえ、打診。2人が参加を希望し、振袖姿の祭官が誕生した。
 当日、儀式は鐘の音を合図に始まり、雅楽が響くなか、祭官が独特の祭器を使って、米、塩、鯛、野菜、牛肉などをささげる供饌(きょうせん)の儀、飲み物をささげる執罇(しっそん)の儀や祝文朗読などが行われた。
 祭官を務めた牛窪真理さん(23)=東京都在住=、齋藤友里菜さん(23)=栃木市在住=は「緊張しました」と口をそろえ、牛窪さんは「歴史、伝統の中に自分が入っている。その一部になれた感じがしました」とし、齋藤さんは「大人の釋奠は身が引き締まりました。足利が大好きなので足利にずっとかかわっていきたい」と話し、今後も都合がつけば参加を継続したいとの意向を口にした。笠原会長は「2人とも立派に務めてくれました」とうれしそうに話していた。
 来年以降も祭官選定には同様の方針をとっていく予定という。

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