「刀装の美」「いのちの寓話」足利市立美術館・美と命の追求

 足利市立美術館で『コレクション展2025 』が10月25日(土)から12月21日(日)の約2か月間開催されている。同展覧会は、第1部「刀装の美ー職人の手技と意匠ー(同時開催:足利学校打の刀槍)」、第2部「いのちの寓話(ぐうわ)ーallegory of livesー」の2部構成になっている。

 第1部(展示室1)では、鞘(さや)や柄(つか)、鐔(つば)など、約100点を展示。職人技が光る超絶技巧の数々や、武用としてつくられた刀装具に見られる多様な意匠やモチーフを紹介している。展示室1でまず目を引くのは、広井信一ほか昭和の名工が手掛けた《朱漆塗金蛭巻鞘大小拵》。この作品は写しで元は豊臣秀吉が所有していたもの、現在は東京国立博物館で所蔵されている。また、期間限定(11月2日~11月30日)で、西郷隆盛が佩刀(はいとう)したと伝わる刀《刀(金象嵌銘)志津》、《黒石目地手綱塗鞘突兵拵》を特別展示。

 第2部(展示室2)では、コレクションの中から、9人の現代作家が制作した、人の「命」の在り方を表現の内に含むと思われる作品、約60点を紹介。足利市にちなんだ作品も多く展示している。

 開催初日は開館前に十数人が並び、来館者は若い女性の姿が多く見られた。足利市内在住のご夫婦は、同館で貸し出しているルーペを片手に「この《茶道具透鐔》は、茶の湯の表現が素晴らしい。ここまでマニヤックな展示は珍しい」と感動を語っていた。また、大阪から来たとい女性は、これまでに刀剣関連の展示で5回、同館を訪れたという。写真撮影は禁止だからと《黒漆塗梅花皮鮫鞘打刀拵》のスケッチを熱心にしていた。東京から訪れた3人組は「今回の展示は、説明が丁寧でわかりやすかった。装剣に用いる鮫皮の展示は、素材の触感を体験できて楽しかった。」と古典史料と実物が同時に見られる展示を喜んでいた。

 ミュージアムショップでは新グッズとして、展示している刀装具のポストカードセットや、ペーパーナイフ、しおりの販売もある。

 さらに、期間中デジタル・スタンプラリーも開催。足利市立美術館・史跡足利学校・草雲美術館の3か所を巡りコンプリートすると素敵な刀の画像をひとつゲットできる。「まちスタ」アプリのダウンロードが必要、詳細は同館のXやポスターで。 

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この記事を書いた人

松尾幸子のアバター 松尾幸子 minimu 編集人・ライター

タウン情報誌の編集を経て、minimu 創刊号(2024年1月号)より、フリーの編集人・ライターとして活動中。地域の皆さんに良質で明るい情報を届けるべく、編集・取材を続けています。
逆境には強いが涙腺は弱い。スポーツジムが憩いの場です。
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