MellowS FUN FISHING VOL.2 夏の渡良瀬川でアユイング

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時代の流れと共に変化する夏の風物詩

陽の照る日中。河川を橋の上から見下ろした時に、煌めく瀬の中で時折キラッと平打つ魚影。
少し遠くを見渡せば、川に立ち込んで長い延べ竿から糸を垂らす釣り人の姿。

市内を悠々と流れる渡良瀬川

胸鰭付近に黄色い「追い星」と呼ばれる斑点があり、スイカやキュウリのような特徴的な匂いがすることから、別名「香魚」とも呼ばれる魚。

すでに思い浮かんだ方は多いはず。今回のテーマは夏の風物詩「アユ」です。

黄色いトレードマークに、見惚れてしまう澄んだ鰭と魚体

1年という短い寿命のアユは、川の下流部で孵化し沿岸部で冬を過ごしたのち、春になると群れで川を遡上します。
夏の間中流域で成長をし、秋になると下流へ下り産卵をして一生を終えます。

稚魚の頃はプランクトンなどを食べますが、川へ遡上し成魚になると川底の石の周りに生えた珪藻などの苔が主食になります。
縄張り意識が強く、自分の餌場となる石のテリトリーに侵入してきた他のアユを体当たりして追い払う習性が特徴。

その縄張りを持つ習性を利用して生まれた釣りが、生きたアユをオトリにして泳がせ、体当たりしてきたアユを針に掛けて釣る「友釣り」です。
アユの友釣りは日本発祥の伝統的な釣りのひとつで、起源は江戸時代と言われております。

川に立ち込み、瀬の中を丁寧に釣る姿

渡良瀬川をはじめ、栃木県や群馬県の各河川でも多く生息しているアユ。
真夏に最盛期を迎えることから、夏の風物詩の釣りのひとつとして昔から親しまれてきました。

しかし友釣りは竿が9m前後ととても長く、仕掛けも細かく作りが複雑であったり。
更にはオトリで使う生きたアユを近くのオトリ屋さんで購入し、1匹目のアユが釣れるまで弱らせず管理する手間があったりします。

本来はそんな複雑さや手間も友釣りの楽しさであるのですが、初心者にとっては他の釣りと比べてなかなか敷居が高い部分でもあります。
近年では若い世代ほど準備に手間がかかる釣りを倦厭する傾向があるので、アユ釣り人口の高齢化や人口自体の減少が問題視されてきました。

川を覗けば、すぐそばに泳いでいる身近な魚なのに、釣るには物理的な難易度が高い・・・。

そんな矛盾を解決してくれたのが、近年新たな釣りとして人気を集めている「アユイング」です。

ウェーディングシューズを履いて、ラフな服装で楽しむアユイング
リアルなアユのデザインのものから、動きを重視したギミックが盛り込まれたデザインまで様々。

魚食性の無い魚を、ルアーで釣るという新しい発想

「ルアー」「疑似餌」という言葉を聞いて、思い浮かぶのは魚や虫などを食べるブラックバスやニジマス、ヤマメやナマズなどではないでしょうか?
そうなると普段苔を主食にしているアユが、なぜルアーで釣れるの?という疑問が浮かぶかと思います。

本来ルアー釣りで魚が釣れる要素としては様々な要素がありますが、ざっくりまとめると下記の要素が大きく占めます。

①本物のエサと錯覚して食べる【捕食】
②猫がねこじゃらしにじゃれるのと同様に、本能的にスイッチが入って飛びついてくる【反射】
③自分のテリトリーに入ってきた侵入者を、攻撃して追い払おうとしてアタックしてくる。【威嚇】

そうです。オトリのアユを使った友釣りがまさに③の要素と同様なのです。

石の周りに居るアユに、ルアーを自分のテリトリーに侵入してきたアユと錯覚させれば、威嚇で体当たりした時にルアーの針が体に掛かって釣れるのです。

狙い通りの場所で釣れた時は、嬉しい気持ちで暑さも忘れる

再びアユ釣りが身近になったルアーフィッシングの可能性

ここまで理解できるとアユイングは、とてもシンプルで簡単! 必要なのはアユに似せたアユルアーと、それを泳がせて操作するルアータックルが1本あればすぐ楽しめます。

アユイングで使う道具は下記の通り。
ルアータックルで釣る方法と、のべ竿で釣る方法の2種類があります。
どちらも各メーカーよりアユイング専用モデルも発売されているので、より詳しく知りたい方は最寄りの釣具店まで。

リールでのアユイング

ロッド:8~10フィート前後L~MLクラス
リール:ベイトリールまたは、スピニングリール2500番クラス
ライン:PEライン0.6号+リーダー6LBまたは、ナイロン 4~6LB

のべ竿でのアユイング

ロッド:5m以上の本流竿・渓流竿・鯉竿(やや硬めで胴に入るものが◎)
道糸:ナイロンまたはフロロカーボン 0.6~1号

アユが釣れた時に入れるタモ網、活かしておく引船も安価な物で十分なので準備できると快適に楽しめます。

アユ用の針を付けたアユルアーに糸を結んで流れの中に投入。苔の生えた石の周りや瀬の中をゆっくり泳がせるだけでOK。
アユが体当たりしてくるとガンッ!と手元に感触が伝わり、針掛かりしたら竿を曲げてゆっくり抜き上げて網の中へキャッチ。

それまでアユは釣ってみたいけど、友釣りは敷居が高くてチャレンジできなかった方も簡単に始められるので、アユイング人口は年々増えております。
伝統的な日本の釣りに新しい釣り方の選択膜が増えたことにより、再び身近に親しみやすくなったことは嬉しい限りです。

そして何より釣ったアユは、塩焼き等で美味しく食べられるのも魅力。
手間のかかる下処理も無く、家庭用のコンロでも手軽に調理が可能です。

こんがり焼けた香ばしい匂いが食欲をそそる

現在、両毛地域でアユイングが楽しめる場所

各河川には漁業組合が存在し、アユに限らず釣りをするには入漁料・入漁規則が存在します。
現在アユイングが許可されている場所は、この両毛地域では下記の通りとなります。

●渡良瀬川
・渡良瀬漁協管轄(佐野・足利地域)※のべ竿のアユイングのみ可能
・両毛漁協管轄(桐生・みどり市地域)
●桐生川
●野上川 ※指定区間あり
●秋山川 ※指定区間あり

詳細は各漁業組合のホームページをご覧いただくか、最寄りの釣具店へ事前にお問合せください。

アユ釣りのシーズンは、6~7月頃より各河川で解禁となり、10~11月頃でシーズン終了となります。
より身近になった夏の風物詩アユ釣りを、今年はアユイングで楽しんでみるのはいかがでしょうか?

水に浸かって涼しく、元気なアユの姿につい顔がほころぶ

余談ですが、アユイングにハマった方は、いずれぜひ友釣りにもチャレンジしてみてください。
そこには友釣りならではのスリリングでドハマりする世界が待っております。
その話はまた次の機会に・・・

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この記事を書いた人

1985年生まれ 佐野市出身。10歳の時に友人に誘われた川釣りをきっかけに釣りにのめり込む。
少年時代から様々な釣りに親しみ、現在はルアーフィッシングをメインに展開。
「楽しい」釣りをモットーに日々水辺に足を運んでいます。
上州屋小山駅南店勤務。 
個人ブランド『MellowS』を立ち上げ、釣りを通したコミュニティ作りや、地域密着の釣りの魅力を発信中。

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