足利赤十字病院の耳鼻咽喉科に医員、副部長、部長として30年間勤務した医師、佐々木俊一さん(66)が院長となり2027年7月1日、足利市借宿町1丁目に「医療法人社団医正会オトクリニックわたらせ」を開院した。頸部腫脹に対する臨床検査、音声疾患、嚥下障害、補聴器外来など専門性の高いクリニックだ。
開院に込めた思い
35歳から常勤医として30年間勤務した足利赤十字病院を定年退職するにあたり、佐々木さんがまず1番に考えたのは「これまで診察してきた患者さんのこと。受け皿をどうしよう」ということ。この懸念を何とかしたいとの思いで、他の病院に入ることも考慮し、動いていたが新型コロナウイルス禍の影響でとん挫。そんな折、医療法人社団医正会(東京都)との縁がまとまり、スタートを切った。これまでの患者のこともあり、新クリニック開院の地は足利に決めていた。「足利で開けないなら、医者をやらなくてもいい、と考えたくらいです」と強い思いが込められている。
スタート時に再確認したのは「患者さんになぜそうなっているのかを、分かってもらえるまできちんと説明すること」としたうえで、「例えば薬。私が出しているのだから、だまって飲んどけということは絶対しない。これは当たり前のことですが」と言う。「分かってもらえると患者さんのモードも変わる。そこが大事なんです」と言葉に力を込めた。
クリニック名に込めた思いとスタッフ、そして今後
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慶應義塾大学医学部卒業。横浜や川崎の病院医員、同大医学部耳鼻咽喉科医長などを務めた後、足利に。30年間住んだ印象は「言葉がやわらかでおっとりしている印象」「ロケーションがすばらしい」とのこと。まちなかに渡良瀬川が流れ、見渡せば富士山や赤城、榛名、浅間、男体の山々が見える。「こうした自然が気に入っています」と話す。だからクリニック名に「わたらせ」を採用した。「漢字でなくやわらかなひらがなにしました。そこにはこだわりました」とにっこり。
現在、クリニックのスタッフは佐々木さんを含め10人。09年から4年間、足利赤十字病院に勤務した経験のある副院長の此枝生恵さんをはじめ、ともに同病院に勤務した人たちが「一緒に働きたい」と佐々木さんを慕ってきた。「引き抜いたりはしてません。気が付いたらそうなっていました」と笑う。「スタッフ同士が非常に仲がよいので、クリニックに温かい雰囲気を出してくれています」とも。専門医がこうした環境の中でストレスなく患者に向き合えるのも同クリニックの大きな特徴のひとつになっている。このスタッフと「地域に困っている人がいなくなるまで医師を続けたい」が佐々木さんの思いだ。
同クリニックの診療内容など詳細はホームページで確認を。佐々木さん自らがモデルとなっての症状や原因、疾患、治療などについての説明もある。問い合わせは同クリニックへ。
オトクリニックわたらせ
〒326-0826
栃木県足利市借宿町1丁目19-9
0284-22-7575