東毛地域を拠点とするサッカーJ3ザスパ群馬の社会人女子チーム「ザスパ群馬ルミナス」の公式戦がスタート。まちづくりの中に存在する女子スポーツクラブの挑戦がいよいよ始まった。
夢を追いかける選手がゼロからWEリーグ参入を目指す

チームはザスパ群馬の運営会社「ザスパ」のフランチャイズとしてザスパ群馬レディーススポーツクラブ(本社、太田市)が運営会社となり昨年2月に発足。太田駅北口を中心とした地域活性やスポーツを通したまちづくりなどに尽力してきた須永和昭社長が地域に溶け込みつつ女子スポーツ選手の地位向上をも視野に入れて準備してきた。
ゼロからのチームづくりを担うゼネラルマネージャー(GM)には元ソフトボール日本代表で北京五輪の金メダリスト、三科真澄さんが就任、スポンサー探しや選手の就労事業所、練習場など協力者探しに奔走した。選手はそれぞれの目標を胸になでしこリーグ経験者など全国から集まり、現在は18人が在籍、地域の人やスポンサーと触れ合って支援を受けながら練習を重ねている。
チームの指揮を執るのは前橋ジュニアを創設し桐生第一高や桐生大学附属中などで手腕をふるった名将、小林勉監督。目指すプレースタイルはスペースを使いボールがよく動く展開力を重視したサッカーだ。判断力に長けた守備から攻撃への切り替えの瞬間のスピードにもこだわって指導してきた。「今季の目標は群馬県代表として11月からの皇后杯への出場と群馬県女子サッカー2部リーグで無失点、最多得点で優勝すること」と新たな歴史を作る決意を語る。来年の1部昇格とその先の夢、WEリーグ参入へとゼロからの挑戦が始まった。

公式戦初戦は惜しくも0-1で黒星スタート。9月からのリーグでの優勝を目指す
チームの公式戦初戦は皇后杯群馬県予選となる第41回群馬県女子サッカー選手権大会(兼)第47回関東女子サッカー選手権大会群馬県予選準決勝で6月15日、前橋育英高校を相手に太田市運動公園サッカー・ラグビー場で行われた。
真新たらしい鮮やかなグリーンを基調にしたユニホームに身を包んだ選手たち。試合はルミナスが序盤から主導権を握り攻めたてるも組織的に引いて守る相手に対し得点には至らず0-0で折り返す。後半もザスパ群馬のユース世代出身で桐生第一高3年のMF宮田凛音選手が左サイドから果敢に仕掛けるが1点が遠い。すると、後半20分すぎに自陣ディフェンスラインの一瞬の連携ミスからボールを奪われゴールを許し、そのまま0-1でタイムアップ、記念すべき初戦を白星で飾れなかった。これで目標としていた皇后杯への出場は潰えた。小林監督は「崩されて点を取られた訳ではないし、ミスを逃さなかった育英さんの方がすごかった。立ち上がりから得点のチャンスはたくさんあったので、決められる時に決められなかったのが勝負の分かれ目。9月からのリーグ参戦に向けて強化していきたい」と振り返った。宮田選手は「チャンスを作れてもクロスを上げ切る、突破して中に入りこむ部分で課題が残った」と悔しさを語り、足首の怪我で欠場したMF山本理紗子選手(桐生市新宿、ぐんま国際アカデミー)は「しっかり怪我を治して地域に根ざしたチームとしてもっと盛り上げていきたい」と9月へのリーグ参戦に向け抱負を語った。
