大岩山多聞院最勝寺(通称:大岩山毘沙門天)では、4月1日からの御本尊出開帳に先駆け、3月27日に「御本尊三尊御帰還慶讃法要」が行われた。
2021年2月に足利市の両崖山で発生した林野火災の際、緊急搬出された御本尊三尊像が、経年劣化に加え移動時に大きく破損したため、2022年6月より京都国立博物館内の公益財団法人「 美術院国宝修理所」にて修復作業を開始し、この度3年弱をかけ修復が完了した。
1757年に仏師幸慶によって造られ、1889年に修理がなされた毘沙門天像を、今回どのように修復したのか。法要後は、修復を担当した松村久功さんよりその過程が語られた。まず現状維持と補足を行い、木を痛めることのないよう細心注意をはらっての作業。オリジナルが引き立つよう、あえて明治時代の修理を取り去り、オリジナルの歴史・特徴が後世に残るよう考えながら修理をしていたという。さらに「第一にお寺に喜んでもらうこと。技術の継承として、キャリア30年の仕事を見て欲しいという思い、そして私をサポートしてくれた方々のためにも、やりぬくという思いを持って完成させました。」との思いを言葉にした。


沼尻了俊副住職は、松村さんからの熱い言葉に答えるように出開帳を決めたことを告げ、多くの人に見守られ毘沙門天様も喜んでいるだろうと締めくくった。「皆さんが穏やかに過ごせる世になるよう、祈りの心を持ち続け、世界の平和を思うばかりです。」とも。
次回の出開帳は次の修復の機会となるため、100年から数百年先になるとのこと。
期間:2025年4月1日(火)~2026年3月6日(金)
場所:大岩山多聞院最勝寺(足利市大岩町570)
出開帳拝観料:1,000円(修復費寄進として)
問い合わせ:TEL 0284-21-8885(最勝寺)