ギャラリー碧
地元作家を全力後押し

今から46年前の昭和52年、まだ20代だった美術好き青年・山川敏明さん(73)が、足利に「ギャラリー碧」を設立した。資金力がなくて有名作家の絵は紹介できず、“必然的に”地元作家から仕入れるように。それが今や、北関東(特に足利)のアーティストを“積極的に”応援する拠点となった。
足利市には美術館やギャラリーが現在15軒もあり、宇都宮市をも上回る。この特徴を活かして何か一緒にできる事はないか、山川さんも中心メンバーの一人となって10年前にその15軒で「アートリンクinあしかが」を結成。5年前からは、街中の古民家などを会場にして芸術に触れる「アシカガアートクロス」も始めた。
「うーん」も「いいね」も若手の糧に

山川さんは、「地元でプロ意識を持ち、作品を見て私が納得した方を応援している。お客様にお勧めしている以上、生半可では応援できない」というのがこだわり。地元・足利に貢献し活躍してくれた過去の作家を大事にしつつ、今の若手作家1人1人の良さをアピールしたり、お客の好みを把握して作品を紹介したりと、今日も懸命に足利のアートを支えている。
そんな山川さんが応援する作家の1人が、菊地匠さん(32)だ。足利高校から東京芸大に進学し、一昨年「美術手帖」誌のニューカマーアーティストに選ばれたのも「碧での最初の個展がきっかけかなと思う」と、菊地さん自身が語る。山川さんの長年築いたネットワークを繋げてもらえることで「直接お客さんの顔が見え、その人のことを知ることが碧はできる」と信頼を寄せる。
個展に出すか迷っている絵を山川さんに見せた時、「うーん…なるほど」という反応だったら、菊地さんは「出さないでおこう」とすぐ判断。逆に「この表情がいいね!」などと具体的に感想を伝えてくれる時は、自信にもつながるという。
今号刊行日現在(11月28日まで)、ギャラリー碧ではまさに菊地匠さんの個展を開催中だ。あなたも碧を訪れて、足利で本気のギャラリストと作家が生み出す空間を楽しんでみては?
(足利織姫神社から徒歩1分)

取材=佐藤麗奈・森谷佳保・小林菜々子・室岡巧輝
[白鴎大学地域メディア実践ゼミ]