スクランブル交差点
緑の塀に囲まれた不思議空間

足利市制百年間の歴史年表から出来事を拾うこのカルタ、今回は今までで一番新しい、つい3年前(令和元年)のお話。足利の某所に、大都会の真ん中かと錯覚するぐらい立派なスクランブル交差点ができた。しかし、なぜか四方を塀に囲まれて、どこの道路とも繋がっていない。地下鉄なんて無いのに、地下駅に降りていく階段まである。これは一体…?
実はここ、ある実在の交差点を模した屋外の撮影スタジオなのだ。中国の映画制作会社が『唐人街探偵3』という作品を撮る際に、有名なスクランブル交差点そっくりのセットを何処かに作れないか、ということで ”映像のまち“足利に白羽の矢が立った。当初の予定ではその作品の撮影が終わり次第取り壊されるはずだったが、「残した方がいい」という意見が出て、
「足利スクランブルシティスタジオ」として引き続きロケ用に使われることになった。
話題の映画、ドラマ続々

少しはがれかけた、地面の点字ブロック。標識の柱には、誰かが勝手に貼ったステッカー。本当に使えるのでは?と思わせるくらいリアルな、隣接する駅の自動改札機(実は張りぼて)。道路の汚れ具合などまで精巧に再現されており、写真や映像で見たらセットとは思えない! そんな不思議な空間が、ここ足利に存在するのだ。
昨年は、人気ファッションブランド「sacai」のファッションショーもここで撮られた。最近では、今年4月に公開された映画『ホリックxxxHOLiC』や、同時期に放送されたドラマ『インビジブル』の撮影も。さらに、まだ解禁されていない情報もいくつもある。あなたが見慣れたスクランブル交差点だと思っていた映像が、実は足利なのかもしれない!
一昨年12月には、足利市と連携して足利市民限定の一般公開が行われ、約3百人ずつの入れ替え制で1840人の足利市民が、普段は閉ざされたこの交差点に足を踏み入れた。コロナ状況が落ち着き次第また、市と連携して地域の人達に向けたイベントを行いたいとのことで、楽しみだ。

取材=森谷祐依・市川柊雅・松島翠
[白鴎大学 地域メディア実践ゼミ]