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足利100年カルタ「は」

花火大学院

花火師の〝足利学校〟

 今から17年前の平成18年、当時の足利工業大学(現・足利大学)に「煙火学専修」=通称「花火大学院」が誕生した。年々減っていく花火技術の後継者を育てたい!という一念で、火薬の専門家・吉田忠雄学長(当時)が設立した、全国唯一のユニークな学びの場。家業を継ぐため花火師を目指す若者から、自身のレベルアップを志す還暦近い花火会社の社長さんまで、それぞれに熱い思いを抱く少数精鋭が全国や海外から足利へ参集した。一昨年に幕を閉じるまでの15年間、そこはまさに、花火界の「足利学校」だったのだ!
 院生たちは、花火の製造に必要な火薬類製造保安責任者などの甲種合格を得るための火薬学、美しい花火を打ち上げるためのデザインや色彩学などの座学に打ち込んだ。研究室の専用シェルター内では、火薬の調合でどう色や光が変化するかの燃焼実験、感動する音やワクワクさせる音はどんな音かの実験などにも取り組んだ。実験に協力した足利唯一の花火工場「須永花火田島煙火工場」の田島浩代表は、「吉田先生は実験実験!の実践派。職人の考えも取り入れ、新たな考え方も教えてくれて勉強になった」と今でも称賛する。

各地で夏の夜空を彩って

 卒業生の1人・千原彬美さんは、アジアや欧州からの留学生たちと文化交流ができて良かった、と懐かしむ。現在は、埼玉県にある実家の花火会社で、音楽とシンクロした花火作りに力を入れている。
 岐阜県の花火会社「高木煙火」の4代目社長・高木政幸さんは、先代から「花火は経験と勘の世界」と教えられてきたが、「化学的に数値化できるか研究したい」と58歳でこの大学院に入学。研究の結果、なんと「やっぱり経験と勘が一番正確。長年の職人はITにも負けない」という自信を得たと言う。それもまた、研究を極めたからこそ得られた貴重な結論だ。その自信で作られた花火が、今年は7月に伊勢神宮で、今月(9月)は安室奈美恵さんの沖縄イベントで、打ち上げられる。

 こうして花火大学院の卒業生たちは、それぞれ全国に散らばって足利での学びを活かし、今でも日本の夏の夜空を彩っているのだ。

当時の研究室の窓。この奥に花火師たちの青春があった。

取材=佐藤麗奈・竹居あいみ・若菜恵実
[白鴎大学地域メディア実践ゼミ]

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