日本遺産「足利学校」
次に目指すは、世界遺産へ

今号の刊行日からピッタリ8年前の平成27年4月24日、足利学校が「日本遺産」に認定された。しかし、認定されたらもう安心…ではなく、実は一昨年〝見直し審査〟があったのだ。日本遺産返上のピンチ!? だが足利学校は見直しの結果、目標集客数の達成や、魅力発信への取り組み等が評価され、見事に認定継続とされた。確かに学校の中には、案内看板や紹介ビデオが至る所に設置されていて、分かりやすい。こういう努力が実って、生き残ったんだな!
けれど、これはまだ通過点に過ぎない。足利市が当初から目標にしているのは、「世界遺産」登録だから。そもそも日本遺産と世界遺産って、何が違うの?「もう16年、登録へ向けて活動してます」と言う、足利市教委文化課の今の担当者・高橋伴幸さんに伺った。
地道に16年、挑戦は続く

日本遺産は、「日本遺産推進委員会」の審査を経て文化庁が登録を行うもの。地域活性化が目的なので、文化財の存在だけでなく、それを《活用》して魅力発信できると見込まれた地域が認定される。
一方、世界遺産はUNESCO内の「世界遺産委員会」が最終的な審議や登録を行う。その目的は、後世に残すべき「人類共通の遺産」を《保護》すること。基準を満たしていると証明が可能で、遺産保護の体制が整っていると判断された地域だけが、認定される。
そこで世界遺産登録に向けて足利学校は、認定基準である「顕著な普遍的価値」を証明すべく、「生徒なら誰でも戦の不安から免れて書物が読める自由な学びの空間/儒学や倫理などの多様な学問/堀で囲まれた学習に集中できる学びやすい環境」という3点を打ち出してきた。古くから日本人の高い読み書き能力や礼儀正しさを育んできたのは全国各地にあった学校であり、その学校の始まりが足利学校―――というアピールだ。
だが実は、足利学校の歴史は未だに分かっていない事も多いのだという。次なるステップは、研究の中間報告や提案書をまとめ、登録への切符である「世界遺産暫定リスト」に入ること! 「地道に活動を続けていきます」と、高橋さん達は意気込んでいる。

取材=佐藤麗奈・泉浦光
[白鴎大学地域メディア実践ゼミ]