寺子屋ピンポン
徳蔵寺の青空大会復活

今から47年前の昭和50年、日本3大羅漢の一つがある徳蔵寺で、「寺子屋ピンポン」と呼ばれる行事が始まった。寺子屋? ピンポン? どう結び付くの?
足利市立図書館によると、江戸時代の天明・寛政の頃と天保期頃、そして幕末期頃、足利地方でも寺子屋が相次いで設立された。そんな中で開かれた徳蔵寺の寺子屋は、明治維新で全国7番目の「公立共励学校」という教育機関になり、周辺12ヶ村の子供たちが通うほどに発展したという。
そんな歴史を持つお寺に、現住職である源田晃澄さんは1台のピンポン台を置いた。「ピンポンラリーの如く会話が弾んでほしい」という願いを込めたその台で、子供達の発案で毎年9月の第一日曜日にトーナメント方式の大会を始めると、その様子がマスコミに取り上げられ「寺子屋ピンポン」と呼ばれるようになったのだそうだ。
「五百羅漢も笑ってる」

去年の大会当日、お寺に行ってみた。タクシーで徳蔵寺と告げると、運転手さんが「ピンポン寺?」おお、これは本当に浸透してる!
コロナで3年ぶりの開催とあって、来賓や保護者の方々が口々に「おめでとうございます」と源田さんに挨拶している。雨の予報だったのに快晴の空の下、大人も子供も大粒の汗をかきながらピンポンを楽しんだ。風も吹く屋外で開催するのは、「誰にでもチャンスがあるように」。小学生男子の部に出場した山地優仁君は、お母さんが「こんなのあるよ」とチラシを見せてくれたことがきっかけで今回初めて参加した。力強いプレイで次々と勝ち進み、なんと見事に優勝! 祝福の声をかけると汗だくのまま「ありがとうございます」と礼儀正しく応えてくれた。
「寺は人材育成道場でもあり、子供サロンでもある」という住職は、ピンポンだけでなく書道教室や英語教室も、先生を招いて定期的に無料で開いている。書道には親子3代で通う生徒もいて、皆真剣な眼差しで筆をとっていた。
最後に、「カルタ用に」と住職はこんな言葉を下さった。『寺子屋で笑う人々 楽しそう 五百羅漢も笑ってる 平和を願う ピンポン寺』 (足利駅北口から車で8分)

取材=氏家綾音・佐藤麗奈・松島翠
[白鴎大学地域メディア実践ゼミ]