小俣幼児生活団
「おねえちゃんたり、あそぼ!」

今から72年前の、昭和24年。
「幼児生活団」という耳慣れない名称の保育園が、足利市小俣町に誕生した。3千坪を超える広大な敷地、自然に囲まれた園舎の一つは築170余年の古民家で、国の有形文化財。そして主任保育士の大川繁子さんは、今94歳だ。
私達に、「こんにちは!」「お姉ちゃん達、一緒に遊ぼ!」と子ども達が元気に話しかけてくる。「上っ面の教育はしない。優しさなど、その子自身の感性を育てる」と話すベテラン繁子さんの言葉は本物だ。
”自分を育てる”園児たち
今の園舎を設計したのは、繁子さんの息子の大川員園長。クラスごとに家があり、二階から筒抜けで一階を見渡せる。園児自身が自分を育てる「自己教育力」を尊重するモンテッソーリ教育で、大人は見守るだけ。「お絵描きの時間」といった束縛も、禁止することもない。障子を破っても怒るのではなく、その場で一緒に直し、生活面での成長を促す。

足利映像クラブ(前号の当欄でご紹介)の石川代表が撮った、この幼児生活団の記録動画の中で、あるお母さんは子ども達の気遣いへの感動を語る。寒い中、上着を着ずにお迎えに行ったら、
「風邪ひいちゃうよ、大丈夫?」「早くお迎え済まして帰りなよ」と口々に言われ、「こんな素晴らしい心を育ててくれる幼児生活団に、感謝の気持ちで一杯です」と言う。この作品は、去年の東京ビデオフェスティバルで見事、大賞に輝いた。
眞園長は私たちに「一人一人の子ども達や社会にとって一番いいと思える保育を心掛けている。事務所を片付ける暇があるなら、園児の事を考えたい」と語る。その姿を見つけて、また子ども達が「園長先生〜!」と集まって来て取り囲む。保育士さん達も「ストレスがなく居心地がいい」と口を揃える。私たちも、こんな保育園に通いたかったなぁ!

取材=中印諜・紐暉・三諏輝・森谷祐依
[白鴎大学メディアゼミ]