ロケのまち
地域と一体、特別賞も

今から3年前の令和4年、公益財団法人『足利市みどりと文化・スポーツ財団』の中に、『撮影支援室』が誕生した。「ロケのまち」足利を支える裏方的存在で、映像制作者から要請されたエキストラ募集の呼び掛けや、作品に合う撮影ロケ地の提供、撮影スケジュール管理などを手伝っている。
ロケ地と言えば、以前この百年カルタで紹介した劇場通りでは今、中核にある旧足利東映プラザが解体工事中だ。区画整理の一環で、今年の2月28日には姿を消すという。「昔からの建物がなくなるのは仕方ない」と受け入れる声もある一方、「せめて皆がちゃんとお別れを言う機会を作ろう」と有志が立ち上がって、スタンプラリー企画が解体終了日まで開催されている。近隣の参加店舗が「映画と〇〇」をテーマにしたメニューや商品を提供し、ファン達は3店舗巡るごとにオリジナルステッカーをもらって名残を惜しんでいる。
「劇場通り」惜別企画開催中

それでもまだ、市内には数多くのロケ地が存在する。中でも旧足利西高校では、ドラマ「今日から俺は‼」の中の「私立軟葉高校」など、約200本(令和6年8月時点)もの作品が撮られてきた。令和2年には〝最も人を動かし、まちの観光を活性化させた作品と地域〟として「ロケーションジャパン大賞」特別賞を、この作品と足利市が一緒に受賞。選考の決め手の一つとなった市主催のロケ地バスツアーには、全国からファンが押し寄せた。
なんと、そのバスツアーがきっかけで、撮影に協力する市職員や市民の姿に魅せられて足利に移住してきた人までいる。東京に住んでいた、中村広菜さん(33)。自らも「映像のまち構想を推進する隊員」となり、閉鎖・解体が決まったロケ地(松村写真館)の思い出を振り返るトークイベントを開いたり、冊子製作やSNS等での発信活動に従事した。隊員任期満了後の今も足利に残り、自分と同じような移住・定住者を支援する市の相談センターで働いている。
中村さん達が隊員の時に作成した「足利ロケ地マップ」は、昨年秋にグーグルマップ版(ウェブやスマホ対応)が公開された。
スマホ片手に、いざ聖地巡礼へ!

取材=栗島伶児・清水隆壱・鈴木菜仁・森愛果
[白鴎大学地域メディア実践ゼミ]