門田稲荷神社
「縁切り」求め、全国から参拝

今回は百年カルタの域を遥かに突き破り、今から965年前の天喜4年。戦に徴兵された病弱な息子を案じたある親が、田んぼの隅に祀ってある稲荷様に無事の帰還を祈った。すると若者は戦で活躍して勝利し、無事に帰ってきたという。以来、その稲荷様は「病気や嫌な事との縁を切る」神として祀られるようになり、今や日本一の縁切り神社として有名な門田稲荷神社になったと伝えられている。
赤い鳥居が並ぶトンネルを抜けると、おなじみの狐の像に迎えられる。邪気を追い返す狐は普通の神社では2体だが、ここは参拝者の殆どが悪縁を抱えて来て邪気が強いため、それでは太刀打ちできず4体も! 絵馬には人間関係の縁切りの願いが多く見られ、中にはとてもここには書けない内容のものもある。
「死ぬ気の祈祷」で日本一に

東北地方を中心に全国各地から訪れる参拝者は、コロナ前で年間約3万人。ただし、ついでに立ち寄っただけの参拝者には、祈祷をしない。予約をして来ても、まず参拝者と30分向き合い悩みの整理を手伝って、どうしても悩みが解決しない時に初めて祈祷が行われる。病気やDVなど命に係わる悩みも多いので、尾花章宮司は「死ぬ気で縁を切りたいと思っている人に、死ぬ気で祈祷し縁切りさせていただく」と言う。SNSなどで知って来る外国人もいて、国の文化は違っても抱えている悩みに違いはないそうだ。
学生記者の一人は数か月前、持病の治療をここの絵馬に託してみた。今、少し症状は改善している。コロナ禍でアルバイトを削られた別の学生記者は、「貧乏と縁を切りたい」と祈った。その後、栃木でも規制は緩められ、今のところ収入は増えて来ている。このまま、世界が丸ごとコロナと縁切りできますように!

取材=牧野甘那・岩鰭朱里・神戸美咲・中村花菜
[白鴎大学メディアゼミ]