2020年6月-特集

こんな時代に安らぎの時間(とき)を
復刻・一語一絵「新井紀代の世界」

 もう二十年以上前、『孔季信』という私的通信が年に数回送られて来た。

 官製はがき1枚の通信の表面の宛名(手書き)以外は、基本的にすべて謄写版印刷、つまりガリ版刷りのものだった。パソコンで何でも用を足してしまう今どきの若い人には想像もできないだろうが、ヤスリ版にロウでつくられた原紙をのせ、鉄筆でガリガリと文字や絵を描いて、一枚一枚印刷していくのだ・・・

〈新井紀代〉

1950年、山形県出身。75年、日本大学懸賞論文総長賞受賞。79年、結婚のため足利市へ。行政書士として活動しながら地域の市民活動にも参加。2007年、くも膜下出血により永眠。(没後の遺稿集中のプロフィールより抜粋)