足利で「じんじんサミット」 50年後を見据えて
「映像のまち」から「映像産業のまち」への期待
俳優大地康雄さんが企画・主演を務めた映画「じんじん」がシリーズ化され、その第2弾が9月から公開されている。1作目の舞台は北海道の剣淵町で「絵本によるまちおこし」がテーマだった。もちろん撮影のメインは剣淵町で行われたが、この足利市でもかなりの重要シーンが撮影されていた。
そして現在公開中の2作目は神奈川県秦野市が舞台となっている。テーマは「森が育む人と絆」。剣淵町同様、全市をあげて協力応援体制を布いて完成した。 このほど「じんじん2」の公開にあわせ、「じんじんサミット」が足利で開催された。この映画のプロデューサーの中山賢一さんが足利出身ということと、これまでにも「じんじん」以外に多くの作品を足利で撮影してきたという実績をふまえ、関係する人たちの尽力によって実現したもの。
サミットは剣淵町の早坂純夫町長、秦野市の古谷義幸市長、足利市の和泉聡市長、大地康雄さんや関係者の参加により足利市緑町の草雲美術館白石山房で開催され、「映画によるまちづくり」などが話し合われた。その後同館に隣接する足利公園で、秦野市から寄贈されたヤマボウシの記念植樹も行われた。
サミット後の記者会見で早坂町長は「剣淵町は特徴のない町だが、(撮影の)応援をしていたらすばらしい映画になった。その後にいろいろな交流も生まれた。町民も自分の町が映画になって自分の町に自信を持つようになった。すべて良かった」という。古谷市長も「日本中の人に、森を大切にする心を持ってほしい。これからも森を守っていく」と述べていた。
大地さんからの「第3作目は足利で」という声に、中山プロデューサーも「3作目は足利以外には考えられない」と応える。そして和泉市長からは「将来を見据えたまちづくりの一助になるような作品であるなら、もちろんそのお手伝いをしたい」との声があがった。大地さんは「本当のまちづくりは、我われ大人が子どもたちに何を残していくかだ。1作目、2作目とも共通のメッセージを伝えています」という。
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和泉市長が「映像のまち構想」を発表して間もなく4年になる。たしかに、毎日のように足利のどこかで、映画やドラマなどの撮影が行われるようになってきて、市民もロケ場面に出くわしてもさほど驚かなくなってきた。いわば、それが当たり前の足利の風景になってきた。飲食店では役者や映像関係者が市民と一緒に普通に飲んだり食べたりしている。若い人たちがそれに刺激を受けて?か、以前にくらべればさまざまな新しいイベントが開催されるようになり、まちの雰囲気が多少明るくなってきたような気がする。
しかし問題はこれから。この先どうするのだろうか。大地さんがいうように「次の世代を担う子どもたちに、何を残し、伝えるか」は当然重要なテーマである。サミット後の会見で和泉市長も「50年後、100年後を見据えて…」という表現をしていた。ならば、この後どんな動きをしていくのか、興味が尽きない。「映像のまち」は市民にも、その業界にもかなり浸透してきていると思う。が、今のままでは50年、100年後を語るわけにはいかない。
小生が望んでいるのは『映像のまち』ではなく『映像産業のまち』である。これにより足利での若い人たちの雇用の場を創ることができるのではないかと考える。そして映像産業が定着すれば、いわゆる知的労働者が増えるということになろう。そうなれば足利のイメージアップに貢献し、他産業へのプラス効果だって期待される。企業誘致も有利に進められるだろう。50年後、いや20年、30年後だって楽しみというものだ。
何だかいいことずくめ、我田引水だから仕方がないが、4年前に期待をしはじめたことである。