ホラを吹こう
編集室に各地から毎月送られてくる地域情報誌(タウン誌)が何誌か、ある。15~16年前から比べると、ずいぶんと減ってしまったが、中には、創刊48年目というとんでもない地域誌や、先月号(12月号)で創刊500号を迎えたものもある。
栃木県では「もんみや」が40年目を突っ走っている。弊誌は、それより3年半くらい遅れてのスタートである。その差はどうやっても絶対に追いつかない距離であるが、中身だって親と子ほどの差なのかもしれない。栃木県紙「下野新聞」には、定期的に郷土誌を紹介するコーナーがあるのだが、ここには県内の情報誌が毎月取り上げられている。そこでは宇都宮に本拠を置く2誌が定位置にあって、弊誌の場合はスペースが取れないときには、スルーされてしまうのである。
県庁所在地の2誌に比べれば、確かに発行元としての規模や誌面のボリュームは足元にも及ばないかもしれないが、誌面の中でひとつくらいは、「ほかの地域誌には負けないぞ」という気概だけはもって制作に取り組んでいるつもりである。
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新年早々のインタビュー企画は鼎談となった。出席者は足利出身でゲームソフトの開発・販売をしている株式会社コーエーテクモホールディングスの襟川陽一社長と、日本を代表するテレビコマーシャルや各種映像、最近では映画まで手掛ける映像プロデューサーの小佐野保氏(株式会社ギークピクチュアズ代表)、そして市長就任後「映像のまち構想」を打ち出した和泉聡足利市長の三人。三人の共通項は足利出身、足利高校卒業、そして「映像に関わっている」ということ。その内容については今月号の本文記事をご一読いただきたい。
襟川さんとお会いしたのは2回目。とは言っても、1回目はもう20年くらい前、大変お世話になっている知人の、東京の某ホテルでの結婚式のときだった。数百人もの参列者の中で、すれ違い様にあいさつを交わしただけなので、襟川さんが覚えているはずはないが、180数cmという長身に加えて、その身のこなし方に存在感があったことを記憶している。
襟川さんと同じくらいの身長の小佐野さんには、4年前の弊誌新年号で初めてインタビューをさせていただいた。知り合ったのはその半年前くらいだったが、身長のない小生は、見上げるように話をしていた。
そんなお二人の話は、誌面の都合で割愛させていただいた部分もあるが、足利市民としては極めて興味深く聞かせていただいた。人口減少に悩まされる中で、若い人の定住人口を増やすには、何と言っても、市民にこの足利(まち)に自信を持ってもらうことだ。外に向けて自慢できるものはたくさんある。どんどん“ホラ”を吹いてもいいくらいに思っている。
お二人に限らず、これまでにも足利はたくさんの企業人を輩出している。その割には市民の中であまり語られることがない。
なぜだろう。
そこで、今回登場していただいたお二人と諸先輩企業人との違いを考えて見る。するとそれは、現代の若者に即した「夢」を兼ね備えて持っているかどうか、語っているのかどうか、そこの違いという気がしてきた。お二人とも、子どものように夢を語る、夢を創造していく。その夢を、若者が追いかける。そんな経営者でもある。
市(まち)も同じで、若者に夢を語れないまちが、若者から見放されるのは当然のことだろう。夢を語る若者が多いまちは、きっとイキイキしているのだろうと思う。足利も、周囲のまちも、みんなそうなるといい。もはや、「足利だけが」というのは通用しないのだ。ただ、ひとつ注意をしておきたいのは、「夢を語る」ことと「媚を売る」のは、全然違うということ。
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さて、早いもので、またしても新年を迎えてしまう。協賛(企業)店様の繁栄を、もちろんいつも協力していただいている皆様、読者の方々のご健康をお祈りいたします。
本年もよろしくお願いいたします。